越前和紙を壁に貼ると、光の表情が劇的に変わります。ただし、施工方法を間違えると剥がれや変色が起きます。私たちが山田工房と5年以上取引を続けながら学んできた、壁材としての和紙の扱い方をまとめます。

下地処理が仕上がりを決める ¶
和紙を壁に貼る前の下地処理は、通常のクロス施工より丁寧に行う必要があります。石膏ボードの継ぎ目やビス頭は、パテで完全にフラットにしてから施工します。下地の凹凸は和紙越しに透けて見えるため、通常のクロスより厳しい精度が求められます。下地処理に手を抜くと、完成後に後悔することになります。
糊の選択:でんぷん糊か合成糊か ¶
和紙の施工には、でんぷん糊(小麦澱粉)と合成糊(酢酸ビニル系)の2種類が使われます。私たちは基本的にでんぷん糊を使います。合成糊は接着力が強い反面、後で剥がすときに和紙が破れやすく、リノベーション時の撤去が困難になります。でんぷん糊は湿気に弱いため、洗面所や浴室周りには使用しません。
光の透過性をコントロールする方法 ¶
和紙の透過性は、楮の配合比率と厚さで調整できます。透過性を高めたい場合は楮100%・厚さ0.2mm程度、透過を抑えたい場合は楮と三椏の混合・厚さ0.4mm以上を選びます。照明計画と連動して和紙の仕様を決めることで、昼と夜で異なる表情を演出できます。山田工房では試作サンプルを作ってもらえるため、必ず現物確認をしてから発注します。
経年変化と日焼けへの対処 ¶
和紙は紫外線で黄変します。直射日光が当たる場所への使用は避けるか、UVカットフィルムを窓に貼ることを推奨します。適切な環境で使用すれば、10年以上美しい状態を保てます。逆に、少し黄変した和紙の色合いを「経年の味」として楽しむ考え方もあります。クライアントとどちらの方向性を好むか、事前に確認しておくことが重要です。
越前和紙は手間のかかる素材ですが、その分だけ空間に深みをもたらします。壁材としての和紙の使用を検討している方は、ぜひ一度サンプルを手に取って光にかざしてみてください。